富樫鉄火

誘拐の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

誘拐(1997年製作の映画)
4.0
渡哲也追悼@神保町シアター。
封切時に大興奮、大感動した記憶があるので、20数年ぶりに再鑑賞。
いま観ても、やはりすごかった。
前半の展開はかなり劇画的だなと思ったが(いくら何でも、中継カメラの数など、多すぎないか)、とにかく、新宿や銀座のど真ん中で、あれほどのロケを実現させただけでも、映画史に残るシーンだと思う。
犯罪グループの中心人物が判明した時点では「構成に無理があるのでは」と不安になったが、こっちが歳をとった分、「犯罪動機」の内容に、さらに共感できるようになってしまい、涙がにじんできた。
クライマックスの渡哲也の独白長回しは、あらためて、たいへんな名場面だと感じた。
こういう映画が、原作ナシのオリジナルで成立したことに、賞賛をおくりたい。
そして、こういう作品が、その後、生まれない(漫画と小説、TVドラマの映画化ばかり)ことを、日本映画界は、もっと深刻に考えるべきだと思う。
富樫鉄火

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