ぬーこ

愛の亡霊のぬーこのレビュー・感想・評価

愛の亡霊(1978年製作の映画)
3.8
愛の亡霊

監督・脚本 大島渚
原作 中村糸子 車屋儀三郎殺事件
日仏合作映画 1978
吉行和子、藤竜也

1本目から物凄いダメージ。体感は2時間以上。
共謀して殺したはずの儀三郎が幽霊として何度も登場し、ホラー要素強め。
目がザクは何を示唆していたのか。いやぁ怖い。
幽霊はおせきの良心の呵責が招いたものか、無念で成仏できなかったのか。これはおせき視点で夜中に夢に出てきそうで怖い。

タイトルは儀三郎のことだよな?でも主人公は殺した2人だし隠れて愛し合ってたのは2人。本作では愛と亡霊はむしろ対になる格好だけど

オープニング好き!不穏なBGMと回る人力車の車輪。暗転しキャスト紹介。

1895年の明治が舞台の1978年公開映画を2021年に見る。100年以上も前の話だが日本の田舎のどこかではありそうな。中上健次の作品を思い出す。

初めて豊次に襲われるシーンが良い!赤ん坊が泣くなか、赤ん坊にあげるはずの胸を豊次に吸われ、ついに耳を塞ぎ、赤ちゃんや今ある家庭を忘れ欲望に呑み込まれる。

儀三郎を始末した古井戸に落ち葉を振りかける。どんな思いで豊次は落としたのか。

裸まま抱き合って死んだのかと思ったら、生きてたわ。生きて一緒に拷問を受けて死ねってことか。そこまでも一緒にいるのが、この2人の愛か。それとも罰としてか。

おせきと豊次。26歳も離れた2人は豊次からの相引きにより、結ばれる。夫が働きに出ている昼間、情事に耽る2人。豊次に無理強いされあそこの毛を剃られてしまったおせきは不倫がバレてしまうか、義三郎を殺すかの2択に迫られる。豊次めちゃ悪い奴。おせきは村でも人気の気立ての良い奥さんだったのに。
今の人が見たら豊次を好きなれないのではないか。殺したことよりも殺したあと冷たくした点について。最後2人は心の奥底から結ばれ求めあったが。

娘のおしんが儀三郎の夢を見て、母が犯人であると確信し、家を出て行くの辛い。

2021.155
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