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ペコロスの母に会いに行くのtosyamのネタバレレビュー・内容・結末

ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

原爆にあったうえに苦界にきえるという永遠の幼馴染みを捜索するミステリー。の部分に一番やられた。そんなミステリーが100年にもせまるその土地のミステリーとしてしっかり成立するにはやはり原爆という。エガコウニモエガキキレナイ。ホントウニソレハアッタコトナノダロウカ。な。ギリギリのデッドライン。あらゆる人生を。事実は小説よりも奇なるものと化さしめる人類の最暗黒の極北たるデッドライン。また。あらゆる表現者の壁としても厳然と常に踏み絵のように。ある。そんなデッドライン。をこえてまでこの監督がえがこうとしたもの。それがファンタジーではなく。女探偵の。原爆の悲劇を追う戦時ハードボイルドミステリーだったということ。そこに一番やられた。認知症のその老いた女探偵は永遠の失踪者と共にみた或る日の教会の合唱その曲を手がかりに車椅子で歩きに歩き推理をめぐらす。息子との心中覚悟の彷徨の果ての最暗黒で不思議な郵便配達からうけとる手紙のあの回想シーン。その送り主を訪れる回想シーン。そのおさえた照明と音響。そのノワールな感触。それがあるおかげで本作。サブスクでみちらかすのではなくdvdでそばにずっとおいておきたくなるフィルムノワールとなっている。探偵職から解放され。バディである息子との。ラストシーンが。これまた実に良い。
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