千年女優

ペコロスの母に会いに行くの千年女優のレビュー・感想・評価

ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)
3.5
禿げ上がった頭が小型玉ねぎに似ていることからペコロスを名乗る元編集者の漫画家で、父親が死んだあとに元気のない母親を心配する岡野雄一。徐々にアルツハイマー型の認知症が進行する母をケアマネジャーの勧めもあってグループホームへの入居を決意した彼が、徐々に過去の記憶に立ち返っていく母を見守る様を描いたドラマ映画です。

編集社退社後に長崎で漫画を描き始めた岡野雄一が西日本新聞で連載した認知症の母と自身のやり取りをコミカルに綴る作品を原作に大ベテランの森崎東が監督した映画で、本作が遺作映画となった赤木春恵が「世界最高齢での映画初主演」としてギネス記録に認定された事が話題になり、キネマ旬報では日本映画のベストワンに選ばれました。

原作の作風を忠実に表現していて、認知症での家族の苦労や苦渋を描きつつもユーモラスな掛け合いで中和してほのぼのとした作品に仕上げています。竹中直人の演技を始めややコミカルが過剰な所もありますが、長い人生の中必ずある苦しさや悲しみを和らげる「ボケるのも悪いことばかりじゃない」の言葉で同じ境遇の人を励ます一作です。
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