マーくんパパ

ペコロスの母に会いに行くのマーくんパパのレビュー・感想・評価

ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)
4.1
長崎の小高い丘の家で暮らす一家3人、高齢の母みつえと1人息子のゆういちと孫のまさき。認知症の進む母を看ながら広告取りの仕事と副業の漫画描きと趣味を兼ねた1人ライブしたりのゆういちも60才を越えて頭はツルツル、日増しに進む母の症状にとうとうグループホームへの入所を決める。母を預けバックミラー越しに遠ざかる母の姿、ツルツル頭撫でれば息子だと認識できた母もそれさえ分からなくなっていく悲しみ。今、どこにでもある老いていく親と家族の関係を、悲愴感にならずに出来ることをしてやり見守る姿が胸を打つ。母の頭を去来するのは娼妓となった幼なじみのちえこや8才で亡くなった妹のたかよ、酒飲みで神経病んで亡くなったろくでなしの夫。ボケても懐かしい昔の日々は忘れない。孫のまさき8才と長崎ランタン祭に行って撮った写真を大事に保管しているのを見つけ、もう一度親族全員でランタン祭に母を連れて行く。ランタンの灯りに照らされた夜景とちえこが働いていた悲しい花街の灯りが重なったのか、めがね橋を彷徨う母、そこで家族には見えない世界の人たちと戯れ幸せそうに佇んでいる母…。老いていくことも悪くない世界、老いて生きることに肯定的なメッセージを発するハートウォームムービー。うちのオヤジもグループホームで息子の顔も忘れ少年兵で出征した懐かしい軍歌を口ずさんでいる。