私ね。長く、生きすぎたの・・・。
坂の上にある、小さいおうち。
真っ赤なレンガが目印の可愛いおうち。
小さいおうちと言うけれど、意外と大きくて・・・。
教科書には載ってない、その時代の人々の生き方。
貧困だから、そんなことはありえない。
戦時中だから、楽しいことなんて何もない。
史実から読み取るとそうかもしれないけど、史実には決して残されていない、その時代の人々の幸せな日常。
時代によって、人の生き方も変わる。
だけど、時代が変わっても、誰かを愛し、愛され、後悔し、怒って、笑って、涙する。
戦争とは無縁な男。
戦争、ばんざい。
お国のために人殺しをさせるよりも、絵を描かせた方がよっぽど役に立つ。
嫌な時代。不本意な生き方。
それに気づくものと、気づかないもの。
それも、一つの時代の生き方・・・。
自分で、自分が許せない。
誰にも言えない、自分だけが知ってるたった一枚の手紙。
誰でもいいので、許してほしい。
長く生きすぎたぶんだけ、つもり積もって・・・。
そろそろ、自分を許してあげて。
もう、時効だよ・・・。