継

ある愛へと続く旅の継のレビュー・感想・評価

ある愛へと続く旅(2012年製作の映画)
3.9
1990年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景に, アメリカ人写真家のディエゴ(ハーシュ)とイタリア人女性(クルス)のラブストーリーと, 1人息子の誕生の裏に秘められた真実, 戦争のもたらす悲劇を描いたドラマ。

現在のローマを軸に紛争当時のサラエボの回想を織り交ぜながらストーリーを運び, 再び現在のサラエボを訪ねる本作。
上述の2人はある「事情」を各々抱えていて, それが内戦という最悪のタイミングで運命の悪戯のようにリンクしてしまう…, とても入り組んだ話を入り組んだ構成で見せる, 2012年のイタリア+スペイン映画です。

戦争に, ダイレクトに歪められる運命, 翻弄され犠牲となる女性達。
カラジッチ(セルビア人指導者)がTVに映るシーンがあったり,『サラエボの花』を想起したり…。
映画の役どころとして裏主役的な, カート・コバーンのシャツ着て登場するニルヴァーナ命のアスカ役・サーデット・アクソイが強烈な印象を残します。


🌹📸
“Grazie(ありがとう)” と, ポジティブに幕を閉じてゆく物語。
去来する色んな思いに整理がつかないでいると『Twice Born』と原題を浮かび上がらす冒頭へカットは帰結して, それで分かったような気になるんだけれど, それは一瞬に過ぎなくて。

青く澄んだ瞳の色が物語る真実, 伏線は張られていたディエゴが身を隠した理由, 愛を伴わないsexを了承したアスカが見舞われる酷い皮肉…
各々の心情は勿論だけど, もし「真実」を “当人” が知ったらと思うと…
考えれば考えるほど, キツく重い映画でした。
継