おだんごぱん

ある愛へと続く旅のおだんごぱんのレビュー・感想・評価

ある愛へと続く旅(2012年製作の映画)
4.0
言葉に出来なくて、なかなかレビューを書けなかった。この映画を機に、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争について調べたが、アスカの様な境遇にさらされた女性が多かったのが特徴のひとつだとか。

アスカやゴイゴの様な、その地に昔から住む人達と、アメリカ人のディエゴやイタリア人のジェンマの様な他国民の交流の中で、今そこで起きている紛争に対する思いや感じ方の違いが、お話に上手く絡んでいてなんとも言えない気持ちになる。

ディエゴとジェンマのお話は、とてもデリケートな問題を抱えていて、夫婦の在り方を問いかけながらも、切なさ悲しさを漂わせる。

ディエゴの心中は計り知れない。あの、美しく晴れ渡った海岸で、彼は何を思ったのか。エミールの演技が素晴らしい。

そしてゴイゴの存在。家族や仲間に対する深い愛情と、それを行動に変える勇敢さ。ピエトロに対するアンビバレントな感情。サッカーのシーンは胸が締め付けられる。

女として、ジェンマの境遇もアスカの境遇も、痛みを感じずにはいられない。心身ともにズキズキ痛む。

人間であることが恥ずかしいと思わなくて良い人生を送りたいし、皆んながそうであってほしい。