ぽち

ANON アノンのぽちのレビュー・感想・評価

ANON アノン(2018年製作の映画)
3.5
サイバーな設定と映像に、ハードボイルドの刑事ものをミックスした、魅力的な内容。
ちょっと「ブレードランナー」風味なのも嬉しくなる作品だ。

映画を観た限りだと、視覚と聴覚が常にクラウドに記録されている社会という感じか。近未来の時代設定だろう。

実際に現代はこれの入り口にいると言える状態。
脳内にスマホがあり、ドライブレコーダーのように常に記録していると考えれば、今あるものが脳に入りさえすればそれほど驚く事も無い。

このfillmarksでも「記憶は記録・検閲され」とあるがこれは間違い。記憶ではなく「聴覚と視覚」が正解。

聴覚、視覚だけにとどめたのが良かった。これに脳内の記憶など入れてしまうと途端に夢物語になる。

ただ、今作での肝となる「すべて記録はオープンで、検閲される」というのがかなり無理がある設定。
せめて一般人同士は他人の記録にアクセスできず、政府機関のみに限られるとかにするべきだった。
多分それに近い設定をしていたとは思うが、説明が無いのが残念。

脳内スマホの設定をきちんとした最初の作品はたぶん士郎正宗の「攻殻機動隊」ではないだろうか。あそこまで緻密にとは言わないが、もうちょっとツッコんでほしかったかな。

社会の反応を考えれば、赤ん坊の視覚映像とか、全国民がクラウドに塚がっているというのは無理がある。

詰めが甘いところはあるものの、サイバーでハードボイルドの雰囲気は楽しめる良作SFだ。



余談。
生まれつきクラウドに接続できるまで進化した人類でない限り、後天的に施術してネットに繋がるはず。

だとすると赤ん坊は無いでしょ。それに一定数はその施術を拒む人がいるはず。
って言うか、ヒロインのようなことをしなくても、繋がらなければいいだけ。

この設定がいい加減なので、いまいち。

攻殻機動隊などは「バイオチップ」の発明で神経に直接アクセスできるようになったという設定だ。
どうせならここまでパクっちゃっても良かったんじゃない?笑
ぽち

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