基本は「LUCY/ルーシー」とか「ニキータ」などの謎めいたやけに強い女設定。だけど派手なアクションも、目立つガジェットも、とんちを駆使したトリックも出てこない。全ては頭の中に埋め込まれているという設定らしい。よって登場人物はただただ椅子に腰掛け目を見開いているという構図になる。
これはとてもじゃないが映画向きではないプロットだ。お色気シーンのインサートがやけに頻繁なのもビジュアル的な引きが乏しいからと思われる。
そこまで情報が進化した世界の話なのに、なぜかタバコはスパスパ吸うわ、灰皿は各テーブルに備え付けてあるわで、無害なタバコが開発されたのだなといらぬ想像がむしろ楽しい。
本編のトリックで目を閉じたまま攻撃するシーンが出てくるが、そんなの早く気づけよってことだよね。というか音声のログは残っているはずなのでハッキングされていればおかしいことになってくる。瞬きの問題とか、視線をずらした場合の問題とか色々整合性に不備がある。
まあいっか。視覚をハッキングされて色々困るというのはそのままドラッグだ。「裸のランチ」のようなカルト風味を加えても良かったんじゃないかとも思うが、アンドリュー・ニコル、かたくなに真面目なんだな。
やさぐれ演技満載のクライヴ・オーウェンのハマリっぷりにようやく合格点。