ベイビー

ブランカニエベスのベイビーのレビュー・感想・評価

ブランカニエベス(2013年製作の映画)
3.6
ブランカニエベス(白雪姫)
スペイン映画
主人公はカルメン(幼少期はカルメンシータ)
父は天才闘牛士
モノクロサイレント映画…

この情報だけを見て、この映画を頭の中でまとめて連想するのは難しいかも知れません。しかし、いざ幕が上がれば、サイレントならではの分かりやすく丁寧な演出で、ありがちな題材を斬新な掛け合わせで巧く仕上げた作品になっています。

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主人公のカルメンシータは、天才闘牛士の父と美しい母のもと、幸せに生まれてくるはずでした。しかし、彼女が生まれるその日、父は闘牛で失敗し重傷を負い半身不随になり、母はカルメンシータを生んだ後に命を落としてしまいます。

その後父は意地悪な継母と再婚。なぜかカルメンシータは、両親との生活はさせてもらえず、養母に育てられます。

まだ見ぬ父親を恋しがるカルメンシータ。しかしその願いはなかなか叶いません。

ある日、養母が亡くなり身寄りが無くなったカルメンシータは、意地悪な継母に引き取られることになりました。しかしそれは娘としてではなく、ほとんど召使いとしての扱い。二階に居る父親にも合わせてくれず、カルメンシータは辛い日々を過ごします。

カルメンシータは継母の目を盗んで、二階に居る父に会いに行きます。父は最初カルメンシータの突然の訪問に驚きますが、直ぐに彼女の存在を受け入れ愛します。

その時間は長く続けば良いのですが、二人は意地悪な継母によって引き裂かれてしまいます…

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終始サイレント映画ならではの丁寧な演出が素敵です。モノクロ映画なのに映像が綺麗だと思わせるところも凄いです。画角とコントラストの妙ですかね。オーケストラの音楽と合わせて、作品に懐かしさと品格が感じられます。

特に僕が好きなのは、カルメンシータと父親が触れ合うシーンです。二人の時間は本当に温かく、優しさを感じられます。見ていてホッコリ。

あと他に好きなのは、カルメンシータが大人になって闘牛をするシーン。

実は、大人のカルメンは「ホーリー・キャンプ」のマカレナ・ガルシアが演じていて、この映画も彼女を追いかけて見つけた作品。

正直、彼女の闘牛シーンはお世辞にも上手いと言えないのですが、ぎこちないなりにも彼女が懸命に赤いマントを翻す度に、"olé"と叫んでる自分がいます。

それはともかく、この映画はなかなか見ごたえのある作品。観る映画がなかなか決まらないとき、マンネリからちょと変化をつけたいときに、一度試していただけたらなぁと思います。
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