高度な技術によって演出の幅も広がる今の世の中に、あえてのモノクロ×サイレント、かつ白雪姫×女闘牛士という異色さ。
色のないモノクロの世界では、時として自分の脳内で色を想像してしまう節がある。例えばジョン・フォードの『わが谷は緑なりき』がそうだ。
モノクロでありながらも大変濃い緑が美しい映画である。しかしこの色彩、結局は私自身が勝手に想像している産物にすぎない。
このように鑑賞者ひとりひとりに色の世界というものが生まれくるのがモノクロ作品の良さなのかもしれない。
本作も所々に色彩が感じられる作品であるが、とりわけ赤色が実に象徴的である。
ラストも色々と想像できる楽しみを孕んでいるのが良い。私はこの物語の終焉をハッピーエンドと捉えるだろう。