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悪の法則のpikaのネタバレレビュー・内容・結末

悪の法則(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。キャメロン・ディアスが素晴らしい。ハビエル・バルデムの在るところにチーター在り、だと思ったらディアスのチーターだったのね。ディアスのチーターのようなメイク、スマートながらガチャガチャと装飾したファッションもクールで素敵。ハンターと獲物。『車とセックス』の映像と語りの禍々しさがヤバい。
キャスティングがミスリードみたいな、バルデムとペネロペ・クルスの配役の妙が良い。一物ありそうでそのまま純真だったり阿呆だったり。
ファスベンダーの鬼気迫る演技も。結婚を受け入れられた喜びと恐怖にむせび泣いている表情が素晴らしい。

詩的な言葉で核心を避けるような警告が様々な人物からファスベンダーへ投げかけられる。淡々と結果だけを映像で見せる演出のバランスが面白い。原因は誰もが持ち理解できるものでありながら目では捉えられないものであるとでも言っているかのよう。ちゃんと見せているのにパズルのピースのように繋がりは見せていない。注意深く見て組み立てていけば全体像が見えてくるよう作っているのだろう。敢えてしたわかりにくさに意図があるような。
もっとファスベンダーが考えていれば、いやわかっていたのに見なかった、そんな教訓的な筋書きが刺激的。
自分ならば大丈夫だろう、確信もなく他人が過去に成功した事例を又聞きしただけで決めてかかる。麻薬犯罪という別世界の話だけでなく特殊詐欺など近年蔓延している犯罪に安々と引っかかってしまう心理が見て取れるような恐ろしさ。
ディアスがクルスに『このダイヤの値段聞きたい?』と聞く台詞が後からゾッと響いてくる。
神父がディアスの告解を聞こうとせず逃げるように去っていく。

きらびやかなものに惹かれ欲を出すなんてことは日常でもあり得る。
安易な過信でドン底まで堕ちていく、古典的な転落劇だが現実に起きているリアルであり、誰しもがファスベンダーに成る可能性がある。内容のわりにクールで軽妙な語り口であることがノリで簡単に選択を誤ってしまう世の常を表現しているかのよう。
もう一度見たいし二度目はさらに楽しめそう。
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