ルパン三世とはなにかを問うたおはなし。
反核、夢を追う若者、夢果てても腐らない男、そういったものも描きながらも、やっぱり主題は"ルパン三世とは"であった。
その過程では、「あの古本屋のじいさんももしや昔のルパンなのでは?」「今作実質の主人公ヤスオ(片桐仁)という名はもしや山田康雄さんからきているのでは??」
なんて勘繰っちまうところもあったりして、まぁとにかくおもしろい。
さらにヤスオがルパンに憧れたり、盗みに心を躍らせる場面には共感しかない。彼も夢見る若者の一人で、一人の男になろうとしていたんだ。
一方で、洒落ていてセンス抜群で何もかもお見通しで、汗かき姿すらかっこいいのがルパンである。僕はそんなルパンが好きであり、それは今作でも健在であった。
しかし、ヤスオの汗は多少の怯えが混じっていてダサい。彼はルパンとは大違いだ。
だが、作中に飛び交う数々の台詞を通して、そのダサい汗一滴は輝きを孕むことになる。
そうして迎えた最高のラスト。
僕の好きなルパン三世がそこにはいた。