カタパルトスープレックス

殺人!のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

殺人!(1930年製作の映画)
3.3
ヒッチコックの第12作目(トーキーの3作目)。1930年英国公開。
『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』を片手に鑑賞。なかなか評価の難しい作品。前半だけなら2.5点くらい、後半は4.0点。

今回はKino Lorber StudioがレストレーションしたBD。

ヒッチコックは興味があるのはサスペンスであり、犯人探しのドラマには興味がないと言っていました。この『殺人!』はそんなヒッチコックにとって珍しい犯人探しモノです。

舞台はロンドン、劇団員の殺人事件。誰が犯人なのか?という話。登場人物は劇団関係者以外に裁判の陪審員たち。その陪審員の一人のジョン卿が探偵役であり主人公です。

本作は初期作品の中でもヒッチコックも気に入っている作品のようです。いろいろな映像的な工夫が見られますし、トーキーならではの工夫も随所に見られます。ただ、こうした工夫の部分は現在ではあまり珍しくない部類のものです。

この作品の見所は後半の15分です。それまでは若干我慢が必要です。やっぱり犯人探し物は得意じゃないんですよ、ヒッチコックは。正直に言えばあまり面白くないです。しかし、最後の最後でヒッチコックの面目躍如!途中まで「時間返せ!」と思いましたが、最後の15分だけはよかったです。