ちろる

世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―のちろるのレビュー・感想・評価

3.7
まるで研究所の職員や医師のような白衣を身に纏うドイツ人のゲルハルト・シュタイデル。
この男はシュタイデル社の創立者あり、世界一美しい本作りにこだわる職人でもある。

ちょっと神経質そう?面倒くさそう?
にも見えるけど、なかなか出てくる言葉はユニーク。

出版社のお仕事というものをよく知らないのだけど、こんなふうに本の企画から、編集、デザインから印刷、製本まで何から何まで全て一社で行うなんて聞いたことない、割に合わなそう、もう変態。
世界中の名だたるアーチストが、彼の手で本を完成したいと願い、彼もそれに応えるために世界中を駆け回る。
世界一にこだわってなさそうなかなり頑固な職人気質と思いきや、会話の中で垣間見れる世界一の出版社でいたいという欲望も含めてなんか愛おしい。
一番の軸となっているのは写真家スタンフェルドのiPhoneで撮った「iDubai」というフォトブックの製本化なのだけど、このスタンフェルドのキャラクターも面白くて、噛み合ってんのか噛み合ってないのか分からない2人のやりとりに身を乗り出した。
変態の組み合わせって神だね☆

アーチストが作り出す作品を最大限に引き出すため、そして世界中の人たちに届けるため一つの本の作成にこのシュタイデルが費やす労力も費用も・・・・想像しただけで気が遠くなる。
デジタル化が進んでる現代の中で、『本』というものの価値が失われないために、彼のような存在が絶対に、絶対必要なのだろうな。
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