ユウサク

マッキー/Makkhiのユウサクのレビュー・感想・評価

マッキー/Makkhi(2012年製作の映画)
4.7
いやなんでこんなに撮影が美しいの?ミクロ-マクロを自在に操るストーリー、外連味に説得力を持たせる演出は言うまでもなく素晴らしいんだけど、映像が、映像があまりにも美しい。少し青みがかっているのは現像する会社の性格が出ているんだろうか。合わせ過ぎないフォーカス、グレインの載り具合、全ての傷を除去しない甘めの修復、カラフルな美術、巧みな照明、コントラストが強く出る「炎」の効果的な使用。思いつくのはそれくらいだけどどうしてここまでこの映像に惹きつけられるのかわからない。マッキーのサイズ感に合わせるため超クロースアップの映像も多用されてるけど、マッキーよりも周囲のオブジェクトやグレインに集中してしまった。imdbだとアナモルフィックレンズを使っているみたいなのでそれもあるんだろうか。これは4K UHDが必要なレベル。そしてデジタル優勢の現在ではこのレベルの映像はもう出てこないかもしれない。人類全体の宝です。

アマプラでのランタイムは2時間でオリジナルは2時間25分あるみたいなのでINTERVAL演出にも納得。変な落とし所とか作らず「殺す」がゴールなのも潔いし、終盤は結局弱みになってしまうもののビンドゥと協力して追い詰めていくのも良かった。何より素晴らしいのはマッキーを喋らせなかったこと。申し訳ないけど絶対に喋ると思っていた。普通に考えたら役者に申し訳ないし序盤で完全に退場させることはないと思うんだけど、そこは演出を優先して半端に人間の言葉で心情のモノローグを入れたりせず、ボディランゲージに徹底したのが非常に上品。どんな題材でも真摯に、丁寧に作るラージャマウリだからこそ成せる技。感服。

劇伴はもちろん素晴らしいんだけどハエになったジャニが置物の大砲の点火する穴から出てくるシーンで明らかにトイストーリーの”You’ve got a friend in me”のイントロのメロディが流れてすぐ誤魔化すみたいに別のメロに変わるんだけどあれは何???あまりにまんま過ぎてびっくりした。オマージュ……??
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