Cisaraghi

マッキー/MakkhiのCisaraghiのレビュー・感想・評価

マッキー/Makkhi(2012年製作の映画)
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タイトルはそのものずばりヒンディー語で「ハエ」。もちろん、インド映画には珍しくない輪廻転生譚。
 日本版のジャケット写真とハエというのが相まって小汚い印象を受け、敬遠していたのだが、実際にはメインの役者さん2人はジャケ写よりずっと美男美女だし、小汚い映像もなく、むしろスタイリッシュ。

CGという道具の可能性を最大限に発揮した、アイディアから話の運びから表現から、力強い創造力の塊のような映画だ。なにしろハエが主人公なので途中展開が全く読めず、かつ、勿体つけないでさっさとテンポよく滑らかに話が進むので面白くないワケがない。ハエが主人公なのに、滑らかで無理のない話?でも事実そうだと思う。ハエと「共演」する役者さんの演技にも全く違和感がなく、ほんと面白かった。さすがバーフバリを作ったラージャマウリ父子だけある。親子してすごい才能。監督、あんなに知性溢れる風貌でこんなに楽しいおバカ映画を作るなんて最高デス。最後にインド映画のお約束場面があるのも嬉しい!

デカン高原の真ん中あたり、ハイデラバードで撮影されている。こぎれいな中産階級的・現代的・郊外型新興住宅地は、インド映画で初めて見たかも(多分郊外)。やはり亜大陸インド、一口にインドと言っても地方によってかなり雰囲気が違うんだと思った。 
 
この映画に限って言えば、私の今まで見たボリウッド映画より風景や街や家の雰囲気が、言ってみれば先進国的。インドと言えばすぐに連想する貧困・混沌・因習の根深さ・半端じゃない人口密度の高さなどはほとんど窺えない。インドは南に行くほど発展途上だと何となく思い込んでいたが、偏見だったようだ。

南国的な植生や鮮やかな色彩などは南インド的。住宅地に竹林があるのがアジアちっく。
(但し、ハイデラバードには世界一広い映画スタジオがあるらしく、そこで撮影されたかどうかはわからないが、この映画も90%はセットで撮影されているらしい。)

前半のストーカージャニはかなりキモい。この先ビンドゥの幸せを妨害しないか心配だ…。

映画の中で犯罪が犯罪ときちんと認定されることなく話が進んでいくのはありがちなのか?それを言っちゃあおしまいよ、なんだけど。別のトリウッド映画でも同様の設定の話を見た。もっと他のトリウッド映画も見てみたい。
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