矢吹

夢と狂気の王国の矢吹のレビュー・感想・評価

夢と狂気の王国(2013年製作の映画)
3.8
得るものがあれば失うものがある。
選ぶと言うことはなにかを捨てると言うこと。
互いに一度ずつ出てきたこの言葉。
宮崎駿は、では、なにを得てなにを失ったのか。と問うとすると、おそらく、待ってましたと言わんばかりに、饒舌にあれを失ったこれを失った失うもんばっかりだと疲れた様子を見せるはず。この作品の中の宮崎駿と言う男はそう言う人物だった。そんなふりをしているのかも知れないけどね。

他人のパワーを自分のパワーにするのが得意な人たち。駿と勲。
疲れたふりをするらしい。
特に高畑勲のことを語る皆さんの口ぶりと合わせて、とても愛されているのだなと、もちろんそうなのだけど。
ついでに、ジブリの作品って、めちゃくちゃ人から生まれてる作品なんだなとも思った。勝手にさ、ファンタジーのもので森の中で卵みたいなものから神々しく綺麗に生まれた美しい空想の産物なイメージだったけど、もちろん、現実には、とてもとても、人間と地続きで生まれている。
じゃないとあんなに愛されないし、人の心打てないんだろうなやっぱり。
特に千と千尋の生まれた時の話が興味深かったです。
そんなふりをしているのかも知れないけどね。

鈴木敏夫さん、めちゃくちゃかっこいいですね。
語り口と人に喋らせる能力、交渉の作り方が上手い人という意味はめちゃくちゃわかる気がする。
吾郎さんのシーンと、庵野秀明案が出た時の駿さんの暴走っぷりがとても好きでした。シンプルで面白い編集。
庵野さんじゃなきゃ、風立ちぬのラストは転向せずに、終わってたかもね。風立ちぬ、見てないけど。

やはり子供。がジブリのあれなんだよな。
昔の父ちゃん母ちゃんの気持ちになったと言う駿の話めちゃくちゃ良かった。
社会の中で、子供を子供のまま楽しませてあげられるようにしたいな。俺も。これは本当の気持ちなんだよ。

宮崎駿が電車乗っててもわかんないわ。

ジャケットの写真よすぎんな。
マジで、王国。
矢吹

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