夢と狂気の王国の作品情報・感想・評価

「夢と狂気の王国」に投稿された感想・評価

パッケージデザインから、この3人の話なのだなと思っていたのですが、実際は鈴木と宮崎のみ。しかしそれがより高畑の「変人性」を連想させます。いかにもといったドキュメンタリーではなく、お洒落に加工されたプロモのような印象で、タイトルにある「狂気」を感じられなかったのが残念。猫のウシコの可愛さは異常。
なー

なーの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 ジブリ好き、宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫好きの人は観るドキュメンタリー映画。

 面白くて、かわいいだけの作品じゃないジブリ作品。例えば、トトロの終盤、メイが迷子になっちゃうシーン、ポニョの宗介とポニョが2人でトンネルを抜けるシーン、千と千尋の親が豚になっちゃうシーンなどなど。子供向けに作られた映画のなかで、そこを描くかって1ファンとして常々思ってた。(今挙げた作品も大好きだけど、小さい頃はトラウマ並に怖かった)でもこれ観て、彼らが創ってるんだからまあそうなるよねって納得した。
 アニメーター、監督、プロデューサーたちが精神すり減らして、自分の人生かけて映画作ってるから。プロデューサーの鈴木さんの仕事は商業的に成功させることだけど、他の人は商売なんて考えてない。いかにいい作品、観てくれる人にどうすれば自分たち(作り手)の想いが伝わるか考えて一本、一本線を引いて繋いでいく。
 だからこそ、宮崎駿作品、高畑勲作品は深いくて、哲学的で、普遍性がある。

 ドキュメンタリー映画として秀逸だったのは、宮崎駿氏が「俺はオタクじゃない」って言った後、目をキラキラさせてマニアすぎる飛行機解説をしていたシーンを繋げたこと。この矛盾こそがジブリだし、宮崎駿。

 あと、カメラを回している人がかわいい女性で宮崎駿氏の好みだったからか、インタビューは物腰柔らかで、人間・宮崎駿が感じられる笑
 
日常の生活で大それたことをせずとも、ちょっと視点を変えるだけでそこには沢山の気づきやワクワクが潜んでいて、それらが心や人生を豊かにしてくれるってことを教えてもらった。
tricken

trickenの感想・評価

4.4
NHK地上波で見られなかったタイプのぶっちゃけたジブリ終末期の様子が映し出される。これだけですでに価値がある。特に宮崎吾朗にも怒られていた川上P、高畑勲に8年翻弄されていた西村Pそれぞれの様子がカメラフレームの中に収まっているのがよかった。

かぐや姫が遅れる事前提で、まるで遅れないかのように堂々と記者会見や地方巡業に出る鈴木敏夫の老獪さにも恐れ入る。しかもかぐや姫がダメになりかけており風立ちぬ一本でやろうとしたところで鈴木と宮崎が庵野秀明を起用しようとする流れで、ふたり以外のスタッフが沈痛な横顔を揃えて俯いていたのが、いまだからこそだが、爆笑してしまった。確かに社運を賭けた映画の主人公を庵野秀明に委ねようとは最初は思えないよね……。

ヘソを曲げているのかほとんど映画に顔を見せなかった晩年の高畑勲は残念だが、宮崎駿は終末の城に棲まう隠居した老王のような箴言を連発する。幸せを目指すのが人生の目的なのか。飛行機だけでなくアニメも呪われた夢なのか。

ドキュメンタリー映画の長尺を活かして、三鷹の風景映像を惜しげなく詰め込んでいる良質なBGV映画でもある。レンタルで観たが、これは円盤でほしい。何度でも机の脇で再生して宮さんの愚痴を聞きたい。なんだかNHKと拾いどころの勘所が違って、快いなあ。何がどう違うのかうまく言えないんだけど。

ジブリはこの取材時期である2013年の後解散し、現役アニメータを抱える会社としては完全に終わってしまった。その爆弾がこのドキュメンタリー映画の中にはあちこちに仕掛けられていて、それを「知っている」かどうかで、このドキュメンタリー映画の局所局所をドラマティックだと感じられるかどうかの多寡が決まってくると思う。
onett

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2.8
途中で寝た
kimihiko

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4.0
日本のおっさんはすげえ。
ウォルトディズニーもぶっ飛んでると思うけど、彼らの狂気じみた職人気質も凄まじいと思う。

こんなおっさんになりたくはない(褒め言葉)が、憧れてしまう崇高な精神があるなあ。

心のない作品は作っちゃだめだ。
観る人聴く人の心も腐敗する。

そんな事を思いながら、中途半端に請け負ったゴミみたいだなこの曲と思いながら書いた曲のデータをそっとPCから消しました。
ちゃん ちゃん
鳥好き

鳥好きの感想・評価

5.0
映画「風立ちぬ」製作の軌跡。
プロフェッショナル仕事の流儀の回と内容がかぶるところもあるけれど密度が濃く、静かな音楽が染み入る。
ナレーションの訥々とした語りが良い。

映画の特典映像にオーディオコメンタリーが付いてると喜んで見るので、その塊のような本作は大好き。サントラがあるなら欲しい。
これ観た後の風立ちぬはすさまじく泣いた。
世界に誇るアニメスタジオ・ジブリと宮崎駿、鈴木敏夫に焦点を当てたドキュメンタリー。
撮影時期は、『かぐや姫の物語』の公開と、『風立ちぬ』制作に被っており、宮崎駿監督の引退会見にも立ち会っている。

膨大な時間と手間をかけて、ひとつの作品が出来上がる過程には、心が動かされる。
宮崎駿の製作論、鈴木敏夫の仕事論、スタジオジブリのアニメーターたちのインタビューなど、なかなか知ることのできない情報が満載。ジブリアニメを見たことがあれば、楽しめると思う。

ちなみに、表紙には高畑勲もいるが、彼のインタビューやかぐや姫の製作現場はほぼ映らない(高畑監督に怒られ、撮影を断念したらしい)。強すぎるだろ…。

宮崎監督の制作部屋も出てくるが、全体的にジブリ風味で面白い。厳しくて恐いが、女性には優しいおじいちゃんでかわいい。

鈴木プロデューサーは昔ながらの編集者といった感じで、ストイックな仕事人感がすごい。眼光鋭すぎる。
お年を召しているのに、クリエイターに代わって夜は飲み歩いているところも流石。

この2人のコンビ感がすばらしかった。

ほんわりした庵野監督が、突然声優にあてがわれて戸惑うくだりは気の毒で笑ってしまった。

『風立ちぬ』のセリフが、「来て」から「生きて」になったのには、かなりグッときた。試写で監督が泣いていたのにも心掴まれた。

引退会見の直前、窓の外を見てアニメの想像を話し始める宮崎監督は、どこまでいってもクリエイターなんだなと感じる。

淡々としたつくりなので、飽きてしまうところもあるが、過度な編集が加えられていない良さもある。スタジオジブリのゆるりとした空気がそのまま感じられる気がする。
ジブリアニメをあらためて見返したくなった。
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