ちぇるごまる

事件のちぇるごまるのレビュー・感想・評価

事件(1978年製作の映画)
3.8
予備知識なしでの鑑賞。

未成年の罪を裁く法廷劇であり、美しい姉妹と三角関係だった19歳の青年の愛憎劇。
その姉の殺人と死体遺棄の罪で告発された未成年の彼。
自身の罪を認めている上で、それまでの過程を裁判をとおして紐解いていくストーリー。
検事と弁護士の火花が散る中、被告人や様々な証人から次第に真相が回想され、事件の根底に潜む姉妹の強烈な嫉妬が浮き彫りになっていく…。

1人1人の名前を出すとキリが無いほど昭和を代表する名優揃いで、それを見るだけでも価値がある映画。
哀れな女子を装いながらも妊娠することで彼を支配し姉から奪う妹…一見すると清純で大人しそうだが、登場人物の中で一番したたか。
そんな妹を演じた大竹しのぶはハマり役。
一方、男を虜にするような年上の美しい悪女キャラの姉役は松坂慶子。その華やかさとは裏腹に哀しい性を持つ女を熱演。
個人的には、2人と関係を持った優柔不断な被告人には何も魅力を感じないため[なぜ、命懸けで奪い合う?]と思うが、根が支配的な女性たちからしてみれば自分の意のままになろう男性は何としても手に入れたいと思うものなのだろう。…しかも、彼の弱みを握ったとなればなお都合が良いのかもしれない。
ラスト、臨月を迎えた妹の屈託のない笑顔に恐怖を覚えた恐ろしい映画。

私も女を数十年生きてきたが、確かにこの妹的女子に数人出会ったことがある。
女の武器を使い巧みに男を操るが、操られていることに気づいているのかいないのか、その相手も幸せそうなので、案外双方の個性が合致しプラマイ0なのかななどと傍観した記憶あり…
女もこの世を上手く生き抜くためには、それだけ器用で意志強固な方が良いのかもしれないと、つくづく馬鹿正直で不器用な私は学んだ。
ちぇるごまる

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