Mrsフロイ

事件のMrsフロイのレビュー・感想・評価

事件(1978年製作の映画)
3.9
渡瀬恒彦追悼。

1978年の日本アカデミー賞受賞作、原作大岡昇平、監督野村芳太郎。
未成年の主人公が犯した殺人事件が法廷で裁かれる過程を追って真相を解明して行く、法廷ミステリーの傑作!
大物俳優が次々に証言台に立つ、被害者のヒモで事件の鍵を握るチンピラに渡瀬恒彦、助演男優賞受賞。

動きの少ない法廷での言葉による応酬が、丹波哲郎の弁護士、芦田伸介の検事、佐分利信の裁判官の圧倒的な演技力で緊張の糸が途切れる事がない。

殺された女性は神奈川県厚木の駅前でスナックを経営、遺体は平塚市の山林で発見、実家は長後辺り。裁判は横浜の地方裁判所で開廷。
現代の感覚ではこの周辺は小田急線に沿った都心の通勤圏、ところが作中ではまるでど田舎の扱い。スナック経営の松坂慶子が一度は働いた新宿は、まるで別世界のように語られる。

公開後の1980年からの土地バブルが大きく関係していると思われる。

犯人は未成年者で少年法に引っ掛かるが、現代の若者よりも強かにみえる。

40年の時の経過に変わったものと変わらないものに、思いを致す事に…

機会があればNHKのドラマ版も観てみたい。
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