MasaichiYaguchi

るろうに剣心 伝説の最期編のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.6
剣心と志々雄真実が死闘を繰り広げる「るろうに剣心」二部作の後編は、前編「京都大火編」が「助走」としか思えない程、アクションは激しく、ドラマはより深みを増した。
前編のラストに登場した福山雅治さん演じる比古清十郎が、原作同様、本作で重要な役割を果たす。
剣心が師匠と仰ぐこの人物から、志々雄との決戦の為に授けられたのは剣の奥義だけでなく、今後剣心が進んでいく上での道標。
それは「生きる剣の心」と言えるかもしれない。
その心は、剣心が世話になっている「神谷活心流道場」が掲げている流儀にも通じることだと思う。
この後編では、単なる悪党集団としか見えなかった志々雄一派の別の面も見せてくれる。
江戸から明治への時代の変遷期に切り捨てられた人々の悲哀や怒り。
思えば剣心にしろ志々雄にしろ、世を変え、新時代の為に身を粉にして戦った“同士”。
ただ二人の大きな違いは、不殺を誓って逆刃刀を手にした剣心に対し、身を焦がす復讐の炎に塗れる無限刀を手にした志々雄という点にある。
この二人は陰陽にように強いコントラストを成す。
剣心や志々雄をはじめとした新時代に取り残された侍たちは、終盤で己の矜持と志をかけて激突する。
息つく間もない死闘の連続には、前作以上に圧倒される。
このシリーズで繰り広げられたスピーディーでパワフルな剣戟アクションは、今後の時代劇そのものを変えていくかもしれない。
死闘の果てに訪れる穏やかなシーンが一抹の寂しさを与えてくれます。
新型コロナウイルス感染症拡大で公開が延期されたシリーズ完結編二部作で、どのような剣劇アクションと人間ドラマが繰り広げられるのか楽しみです。