教授

ランボー3/怒りのアフガンの教授のレビュー・感想・評価

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原題からついに、「First Blood」が消えてしまった。

今の時代となっては、色々と複雑な気持ちになる作品。
ソ連のアフガン侵攻に対して、最終的に、現地ゲリラと共闘してソ連軍と戦うことになるランボー。
…囚われになったトラウトマン大佐を救出、という大義名分のもと。「ロッキー4」に通じる冷戦時代の世界統治の煽りを食っていた彼らゲリラの中に、史実ではビン・ラディンがいたわけで。
これらの作品の偏りは、描かれる正義自体の片手落ち感は大きい。

大局的な二国間の正義とやらと、ランボーの個人の尊厳の物語は過去作以上に擦りあっていない代わりに、大作感とエンタメ性は上がってしまっているからこそ、余計に複雑。

というよりは、この二国間の政治的緊張は背景にまでぐっと後退し、前作の「怒りの脱出」よりは具体的にはなってはいるが、やはり、誰と誰が戦っているのか、というリアリティはまったくない。というかわからない。

ランボーは一人で戦っているのか、軍だったり地元のゲリラだったりの協力かどれくらいあるのか、とか色々気になってしまうし、最後までそれがよくわからない。

つまりそこまで描く気はないし、描けないのかもしれないけれど、やはりどちらか一方の正義によって描かれるフィクションとしては、リアルすぎる現実に対してフィクションとしての設定がそもそも噛み合っていない気がする。
当時、大ヒットはしたはずなので、悲しいかな、やはり、それらの語るべき内容は娯楽色を優先されたということになるだろうし、9.11以降のことを考えれば、なおさら眉間に皺がよってしまう。

あと、前作同様、スタローン以外にキャラ立ちしているキャラクターを特筆して描いていないというのもあると思うが、いわゆるド派手なアクションに対してカタルシスがまったくないわけではないが大味ではある。
ただし、「ロボコップ」のクラレンス。カートウッド・スミスが出てて驚いたし嬉しかった。

あと良かったというか、これはスタローンの発明なのかもしれないが、パート1にもあったが怪我して自分の手で治すというシーン。
怪我も痛いが、治療も荒療治(しかも薬はない)から痛い、という描写。
やはり痛みを感じる身体アクションというのにこだわってるのかなぁって思う。
すぐにピンピンして動くのだけれど、それらの描写があることでその無敵感がアップする。

それにしてもパート2からずっと、裸なんだけど、よく考えたら物語上、謎だ。
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