のちに「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(2009年)で大ヒットを飛ばすトッド・フィリップス監督の2003年の作品。ちょっと疲れた頭には、トッド・フィリップス監督の馬鹿騒ぎコメディが効く。とにかく笑い転げているうちに心身ともにリフレッシュしてくる。比較的初期のこの作品にも「ハングオーバー」的馬鹿騒ぎパーティーが登場する。ほとんどトッド・フィリップス監督のお約束のように。
法律関係の仕事をしているミッチが、早めに出張を切り上げて家に帰ると、婚約者のハイディは3Pの真っ最中。さすがに別れて、新しく家を借りたミッチだったが、今度の家は大学の敷地内にあり、トッド・フィリップス作品お決まりの悪友たちが登場しての馬鹿騒ぎパーティーが開催される。しかし、騒ぎを知った大学の学部長から立ち退きを命じられたミッチと悪友たちは、そこを大学の社交クラブとして運営することで、合法的に居座ることに決める。社交クラブのメンバー集めに奔走するミッチたちだが、学部長もそれに対抗して汚い手を打ってくるのだが。
トッド・ウィルソンはよほど馬鹿騒ぎパーティーが好きらしく、この作品でも盛大にぶちあげる。そのエネルギーたるや、いつも感服する。「ハングオーバー」シリーズでは馬鹿騒ぎの後の事後処理が物語の主筋だが、この初期作品では、それに対抗する「敵」との闘いに主眼が置かれる。やがて「ハングオーバー」シリーズで対するのはもっぱら内輪の揉め事なのだが、初期のトッド・フィリップスは外に敵を求めていく。そのあたりにまだ健全さがふんぷんと臭っているのだが、それだけに話はシンプルで、後年の彼の作品と比べるとやや物足りないかもしれない。ただ、笑えることは確かで、日本ではことごとくビデオスルーとなってしまった彼の初期作品が、配信サービスのおかげでこうしてたやすく観られることは感謝すべきだと考えたい。
