てるる

さとうきび畑の唄のてるるのレビュー・感想・評価

さとうきび畑の唄(2003年製作の映画)
4.0
現在公開中の「ハクソーリッジ」と是非セットで観て欲しい反戦ドラマ。

明石家さんまと黒木瞳が戦前に駆け落ちで沖縄に住み着いて家族を作るが、戦争の足音はどんどん近づいてきて…
さんまが「ライフ・イズ・ビューティフル」みたいに悲惨な状況でも皆を笑わせようとする男の役がなかなかハマってる。

戦争の迫力や映像のクオリティはハクソーリッジには遠く及ばないけど、ハクソーリッジが描かなかった、民間人の目を通した沖縄戦を見せてくれる。
この後に始まる悲劇を思うと、何でもない家族の団欒シーンですら泣けてくる。

当時は大人達よりも学校で教育を受けた子供達のほうが「お国のために!」といって戦地に赴いたことがよく分かる。
もちろん、米軍に捕まったら死ぬより酷い目に遭わされると洗脳されていたということもあるので、集団自決を図ったり、少年や少女たちまでもが死ぬと分かっていて特攻したりした。
そして戦いだけではなく、疫病や餓死した人達も多数いたという。

「勝てば官軍」とはよく言ったもので、第2次世界大戦ではどの国も非人道的なことをしたし、どの国にも立派な人がいたけど、負けた側は一方的な悪として描かれることが多かった。
もちろん日本も同じで、このドラマに出てくるような部下ばかり死なせるクズもいただろうけど、高潔な軍人として知られる牛島中将や太田中将がいたし、オダギリジョー演じる兵士のように、沖縄人をなんとか生き残らせようとする人もいたのだろう。
実際、玉砕覚悟で特攻をかける部隊に同行させて欲しいと頼む少女達に、生きろと断った軍人もいたという。
沖縄には慰霊の日というものがあり、沖縄戦が終結した6月23日と制定されている。この日は正午に黙祷を捧げるのが通例になっている。
そしてこの日近辺には沖縄戦を基にしたドラマや映画、アニメを何度も見せられたが、こればかりは何度観ても心が痛む。

それにしても太平洋戦争には、軍部の暴走があったのは事実だけど、欧米列強に蹂躙されつくしていた東南アジアを解放するという目的もあった。
東南アジアの国々を植民地化し、好き放題やっていた欧米に比べ、日本は奪った土地でインフラを整え、教育を施し、現地人に統治を任せたりしていた。
特にインドネシアやベトナムでは、戦後また植民地化してやろうとやってきたオランダやフランスに対して、残留日本軍と現地人が戦って独立を勝ち取った例もあり、今でも日本に感謝している人達がいる。
かと思えば、自分たちはベトナム人に対してまさに鬼畜の所業を行っておいて今も知らぬふり、戦後の日本でやりたい放題やっておきながら未だに謝罪要求をしてくるようなお隣の国もあったりする。

そう考えると、戦争は国によって視点が変わるし、一つの側面だけで推し量れるものでもない。
だとしても、このドラマの終わりにあるように、戦争は全ての人を不幸にするし、世界から戦争をなくしたいと皆が思わなければ戦争は無くならないことだけは間違いない。