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ロード・オブ・セイラムのLudovicoMedのレビュー・感想・評価

ロード・オブ・セイラム(2012年製作の映画)
3.9
ヘレディタリー/継承の元ネタか、目を疑う様なストーリーテリングの暴力。

悪趣味を極めしロブゾンビ監督が魔女裁判をモチーフとした本作。ロブゾンビのDIY精神溢れる悪趣味な殺戮方法はスプラッター界にニューウェイブを巻き起こし、同時に古き良き殺人鬼との鬼ごっこクリシェを惜しげもなく使い、やりたい放題な様が血に飢えたホラーファン達を刺激した。

そんなロブゾンビがオカルト系のサイケファンタジーチックなホラーに挑戦したのだが、ひょっとしてアリアスターはヘレディタリー製作の際に、本作を参考文献に挙げていたのでは?と思うくらい演出がソックリだ。

ごく普通の日常のはずが、得体の知れない倦怠感が主人公を襲い、チョイと水を飲みに冷蔵庫を開いたり、さぁベッドに入るか!といった日常アクションのショットをじっくり見せる。すると映画鑑賞者のみ異変に気づく。

「この世の物ではない何者かに"監視"されている」

通りの向こうで、ジッと見つめる不審な人物や現実と地続きな悪夢が恰も、身に降りかかった現象として後遺症を植えられたかの如く、何かが継承されゆく。
ヘレディタリーも同様に観客に能動的に気づかせるエポックメーキングな演出法で背筋をゾッとさせましたが、ロブゾンビの場合、目を疑うようなトンデモ展開として突発的に添える。どこかストーリーにサブリミナルを巻き起こす様な、破綻ぷりが"ザロード"に毒された主人公の心理的歪みさながら、物語に翻弄されるのだ。
しかもその得体の知れないナニが、いにしえよりの悪魔的存在あるいは、血族という名の牢獄に囚われし者に降りかかる地獄巡りな洗礼と、ヘレディタリーのサンプリング元な悪夢を見せられる。

ロブゾンビは兼ねてから、生まれながらに持つ殺人鬼の血について考察した作品が多く、ホラーにおけるファイナルガールが実は、ヴィランと鏡像関係なパターンが使われ、特に今回はかなり力を入れエクストリーム度が増している。

とか言ってるうちに、勘の良いあなたは察しがつくかもしれませんが、むしろ定番クリシェなストーリーに時折サブリミナル的に繰り出されるトチ狂った演出にこそ驚いてほしい。

本作はラスト3分の1からが本番です。
明らかに賛否、いや否の方が多いかもしれないが、ロブゾンビのフェチズム全開な血祭り、ドラッグな映像に爆笑でした。

かなり支離滅裂な映画でしたが、ダークなゴシックホラーのルック構築やサウンドデザイン等で自分にはバイブスピッタリ、大満足な一作です。
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