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父の秘密のエディのレビュー・感想・評価

父の秘密(2012年製作の映画)
2.1
母を亡くした父娘が再起をかけて移った新天地で、娘が壮絶ないじめに遭ったことで人生が変わる様子を淡々と描いた映画だが実に胸糞悪い。後味ではなく、そこに至るまでの設定が胸糞悪いのだ。現実にこういう世界はあるのかもしれないけど、それをリベンジサスペンスでなくヒューマンドラマタッチで描くのはどういう意図なのだ?

事故った車の修理が終り、修理工から修理箇所の説明を受けているシーンから映画が始まる。自動車事故で妻が死んだので、車を修理して心機一転違う場所でレストランを開業させようと、主人公のロベルトは目論む。年頃の娘アレハンドラは父との関係も良く、転校しても頑張っていたが、クラスの人気者のホセと寝て、その録画シーンを学校中に配信されてしまったことで人生が変わってしまう。。。

みだらな映像を公開されたことで自殺に追い込まれた事件は実際にあるが、この映画はその問題をテーマにしているのではない。母を失った哀しみ、新天地での苦労、マリファナを吸っていたのがばれる娘など父娘が母の死を乗り越えて生きていこうという日々を描いたヒューマンドラマタッチになっているのだ。

通常、ヒューマンドラマだと、いろんなエピソードが出てくるが、突出して大きなエピソードは入っていないので、起承転結のバランスが保たれる。

しかし、この映画は親子をヒューマンドラマタッチで描きながら、アレハンドラが遭うえぐい事件がいつの間にかメインテーマになっていくので、気分が悪くなってしまうのだ。この部分はあまりにも重く、ヒューマンドラマで書き込まれるワンシーンにしては重すぎる。もしラストの展開をやりたいのだったら、このテーマに絞ったサスペンス仕立てにすべきだと思う。

その位に胸糞悪い映画を、あたかも感動的なドラマのように淡々と描くので、個人的にはかなり苦手な映画だった。

これを盛り込む必要はないだろう。ラストにつなげるために不自然かつ強引に胸糞悪いストーリーにしているだけに思えるのがこれまた気分が悪い。

「父の秘密」なんていうやさしいタイトルだが、実際は全く違うので、観る場合はそれなりの覚悟と精神的なゆとりのあるときにした方が良いと思う。自分はほのぼのとしたファミリードラマと思い、仕事でストレス溜まりまくっている最中に観てしまったのでとてもダメージが大きかった。。。
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