めろ

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴのめろのレビュー・感想・評価

4.2
現代に生きる吸血鬼の話。映像、音楽、台詞、物語すべてがひんやりと低体温で心地良い映画でした。

永久に生きる者にとって、愛とは、死とは、生とは…と思いを巡らせました。同時に、過去から学ばず、未来を想う事も出来ず、現在すらまともに生きられない人間達を情けなくも愛おしく思ったり。"悠々として急げ"という言葉を不意に思い出すような。

主演の2人が美しく、特にティルダスウィントンのおばあさんにも少女にも、時に男性にもみえるような"何者でもない"存在感は彼女以外の誰にも作り出せないと思う、魅入ってしまった。美しい人は中性的。憂いに満ちた感じのトムヒドルストンも良い。呼吸も鼓動も、彼らは私たちの2倍や3倍、ゆっくりなんじゃないかな。
またそんなふたりに、天真爛漫で向こう見ずなミアワシコウスカが良く映えていました。

iPhoneを使いこなすイヴとは対照的にアナログ・アンティークを好むアダム、実在する偉人たちの写真や本、触れるだけで言語や年代を読み取る事ができる能力など細かいところまで面白かったです。
めろ

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