次男

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴの次男のレビュー・感想・評価

4.3
美しさとその本物を語れるほどこの映画は美しい。

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この映画を紹介してくれたひとが、「ヴァンパイアとゾンビの違いってなんだと思う?」と僕に聞いた。僕は、ゾンビは制作者が特性を自由に設定できて、ヴァンパイアは伝統的な様式があるもの、みたいに答えたのだけど。(個人的には、観終わってみてこれも間違いなくひとつの重要な要素だと思った) 彼女は、ゾンビは死んでて、ヴァンパイアは生きてるんだよ。て言った。

最近、何かの本で、「生きる意味は?」への答えを読んだ。哲学の見地からの返答で、「(それに対する様々な立場の回答はあるが、)生きる意味などない。生きるというのは状態であって、そこに必然性など欠片もない。言うならば、生きてしまってる、が正しい。」なんて書いてあった。少し納得しつつ、でもやっぱり腑に落ちなくもある。

彼らは長く生きている。けど、僕のイメージするヴァンパイアよりずっと脆弱で、すごく儚くて、なんか吹いたら消えそうに、死が近い。音楽を愛し、美しいものを愛し、本物を愛し、静かに優しく摂取する。愛する。美しいものを愛するために生きながらえてる。
「あの娘は本物だな」
「きっと有名になるわ」
「有名になるにはもったいない」
ヴァンパイアは生きてて、ゾンビは死んでるんだ。

ラストカット、ふざけたようなあのカットが、とても強烈で、「生きてしまってる」じゃなくて、「生きる」て感じだ。ほんで、「生きろ!」みたいな。俺らゾンビって言われてるぞ。生きるぞ。

例えば、こんなメッセージ(なのかどうか知らんけど)も、子供の頃に読んだ意味深な絵本みたいな具合で、ますます気味が良い。

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まあそんなんはさて置き、とにかくジムジャームッシュの描いたヴァンパイアは素敵だなあ!
髪型が素敵。血を飲むときのうまそうさが素敵。手袋も素敵だし、サングラスも、iPhone持ってるのも良いし、あと、マーロンとか、シャレも効いてる!ミアワシコウスカ?合ってる?のキャラクターがすごくいい!ゾンビ寄り。あと、そうそう、素敵なのは、タイトルな。(変な邦題つけなかったご担当者様、ファインプレーですぞ)


これまでのジムジャームッシュのイメージと違ったけど、逆にね、そんなん関係なく、本当に素晴らしいと思えたんだよ。