アラシサン弐

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

3.7
夜道をドライブして、ダンスを踊って、部屋でダラダラと気怠い会話を紡ぐ二人の姿は、ヴァンパイアの日常アニメでも見せられてるかのような穏やかな映像ながらも、そこからは長いこと生きてきたからこその人間に対する悲愴や孤独があって、何とも言えない倦怠感を感じる。
冒頭、ビザールギターのくだりなんかはYouTuberの試奏動画みたいなのに、雰囲気だけで異様に綺麗で画になる。

前半は現代のヴァンパイアの暮らしを淡々と覗くだけの気怠い映像で、妹が出てきてからの展開は、人間の血が汚れてるからこそ窮地に立たされたり悲劇が起きたりして何とも社会風刺的。
「やめなさい音楽業界の男なんて!」とか笑う。

現代にヴァンパイアがいたらこんな感じの生き方するんだろうな、と思わされるようなリアルとファンタジーの成分は割と絶妙だと思う。

デジタル嫌いで、過去の人間の過ちをイジイジ軽蔑し、ビザールギターやアンティークを好むアダムに対して、イヴさんは普通にiPhoneを使いこなして航空券も予約し、人間に対しても楽観的だったり、その妹はワンナイ感覚で男食べちゃうような現代っ娘だったり、思想や行動一つとっても三者三様なのが面白い。
アラシサン弐

アラシサン弐