「一度チェックインしたら、二度と出られない。」
神代辰巳監督は名監督だとは思うが、非常に粘着質で、この作品のように嫌なシーンをコレでもかと観せられるのは、非常にシンドかった。
冒頭、逃げる伊佐山ひろ子のシーンだけで、10分ほどある1時間作品なので、ロマンポルノなのに、エロいシーンがほとんど無いし、グロさ加減も大した事ないのだが、何か嫌なものを観たという感覚は、「悪魔のいけにえ」以来かもしれない。
原作はマルキド・サドなんだけど、その筋の愛好家にも、股間に響かないだろうと思う。
人間や、ましてや死体でさえも、物として扱う、中川梨絵と山谷初男の異常なオーナー夫婦がトラウマものである。
死体を前にしての晩餐会や、簡単に人を殺してゲラゲラ笑っている所など、究極のサディズムでしか感じ無くなった異常な様が、淡々と描かれていく。
観たことを後悔する後味の悪さが強烈だが、何故か頭にこびりつく映像の数々で、そこが神代の狙いだったかもしれないが、私にはお手上げだった。