YasujiOshiba

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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サイモン・ペッグに間違いなし。おおいに楽しませてもらいました。ゾンビをパロった『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)は大好きな作品だし、「未知との遭遇」を笑い飛ばす『宇宙人ポール』(2011)もよかったよね。ニック・フロストとのコンビは無敵だな。

監督のエドガー・ライトって、ついこないだ見たばかりの『ベイビー・ドライバー』が最高だったな。ペッグとの仕事で頭角を現してきた人だと思うけど、もはや大御所に近い。ともかく映画好きなのはよくわかる。「世界の終わり」は実にSF的だけど、ビールのはしご飲みで最後に到達するはずだったパブであり、とうぜんそこではぐでんぐでんに飲みつぶれているわけなのだけど、飲みつぶれた酔っ払いと、SF映画ファンのふさわしい「世界の終わり」が用意されている。

それにしても実に映画的なオマージュにあふれて楽しい作品だ。カーペンターの『光る眼』(1995)とかドン・シーゲルの『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956)はもちろんだけど、ロボットもどきのエンプティたちは『ウエストワールド』を思い出すし、アクションシーンはタランティーノ風のクンフーアクションで決めてくれる。

人類の文明化を目論む侵略者が The Network だというのは、じつにアンチグローバルだし、この無敵の ITネットワークの権化を最終的に打ち倒す(諦めさせる?)のは、ゲイリー・キング(サイモン・ペッグ)の圧倒的な「おバカぶり」(fuck-ups)なのだ。

彼の宇宙的文明のネットワークに対する勝利の言葉(諦めさせる言葉?)を聞いてみ欲しい。G. キング/ ペッグはこう高らかに宣言する。

Hey it is our basic human right to be fuck ups. This civilization was founded on fuck ups and you know what? That makes me proud!

「いいか、おバカをやることは俺たち人間の基本的な権利なんだ。人間の文明ってのは、バカの数々の上に築かれたものであって、だからよく聞け。おれにはそれが誇らしいのだ!」

いいぞ、ペッグ、よく言った。やんややんやの大拍手!
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