こたつむり

渇き。のこたつむりのレビュー・感想・評価

渇き。(2013年製作の映画)
4.0
♪ 失った夢だけが
  美しく見えるのは何故かしら
  過ぎ去った優しさも今は甘い記憶
  sweet memories

こりゃあ、最高に狂うちょる映画ですのう。
オープニングからして、やたらと軽薄。それでいて鮮血は飛び散り、暴力もイジメも否定されんのじゃ。思うに、タランティーノ風味を目指したんかのう。

そりゃあ、否定的な意見が多いんも当然じゃな。誰だって身近なところで凄惨な場面は観たくないもんよ。アメリカで死体が転がるのは他人事。だけど、近所のコンビニで人が死んだらイヤなもんじゃろう。

そういう意味では皮肉じゃ。
「お前らが喜んでるタランティーノの映画はこんなもんじゃあ」と言うとるのと同じ。ポップでクレイジーな中島哲也監督の面目躍如じゃ。メジャーな位置に居るから騙されやすいがの。

特に見事だったのは小松菜奈さんの起用。
前から“透明感のある演技”とか言われてんが疑問だったんがの。本作を観て納得したで。申し訳ないが、この娘は“悪女”を演じた方が光り輝くんじゃ。

しかも、本作がデビュー作とな。
いやぁ。さすがじゃな。以前から中島哲也監督は女優さんの扱いが巧かったが、今回は本当に唸るレベルじゃ。他にも二階堂ふみさんとか中谷美紀さんとか豪勢な使い方もしておったの。

あと、役所広司さんはパロディの塊じゃったな。洋画でよく「ファック」と口にするが、あれを日本に輸入したら、こんな感じになるんじゃないかの。やっぱり和製タランティーノを目指したと思うんじゃが…どうじゃろかいね?

まあ、そんなわけでな。
ひたすらに狂気を描いた作品じゃからな。胸糞悪くなるのは当たり前。洋画では良くて邦画ではダメ。なんてのは、視野狭窄かもしれんので、取り扱いには注意なさい。

あと、大切な部分は隠蔽されてるんでな。
この辺りは“いやらしい”感じもするが、きちんと噛み砕ける大人の映画なんじゃて。R15+のレーティングじゃが18歳未満お断りが適正だと思うぞ。クスリを軽く扱う描写もあるでな。
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