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ファイアbyルブタンのくりふのレビュー・感想・評価

ファイアbyルブタン(2012年製作の映画)
1.5
【女体と退靴】

映画としては退屈だろうと予測していたけれど、予想以上だった…(苦笑)。

同じ被写体でもワイズマン監督の『クレイジーホース・パリ』の方が断然面白い。あちらはショーが醸す幻想をカメラで炙り出す、という映画作家としての目的があったが本作はただの映像記録。で、眺めていても、ショーの肝がどこなのかサッパリわからない。

例えば、ダンサーの魅力は「1位:お尻」(笑)であることは、『クレパリ』ですでに明快です。本作でもそう狙って撮られたショットもあるのに、それに対してルブタン靴は、ならではの魅力ってなんなのでしょう?

私は靴知らずだし、フェチでもないからわからないのか?別に他の靴でもいいんじゃないの、と思っちゃうんですよね。

やっぱりダンサーの肢体力が圧倒的で、靴はカレーに添えた福神漬けほどに思えてしまいます。確かに、ないと締まらない。でも種類は「福神漬け」ということでいいやと思ってしまうのですね、これだと。

演出的にも、舐めるように足元に寄った画とか、靴の中に極小カメラで入り込んじゃうとか(笑)、映画ならではのコトをしてくれないと、舞台を生で見る方がきっといいんだろうなあ…と感じてしまいます。『クレパリ』ではそういうことはなかったんですけどね…。

3Dということでは、女体を山脈のように捉えた「風景画」がちょっと面白かったけれど、別になくてもいいや、でした。おっぱいお尻が飛び出したり、それこそ靴が飛び出したり、て面白さもまったくないし。

本作は『Pina』の3Dスタッフが作ったそうですが、あちらはヴェンダース監督の演出がホントにしっかりしていたんだ、と改めて実感してしまった。やっぱり映画は技術ばかりじゃダメだと思う。月並みな感想ですけど。

ダンサーさんの艶姿は目には嬉しいですから、もっと3D強化して、短編にして安くして、大人向けアトラクションとして提供したら裾野は広がるんじゃないでしょうか。

また例えば、ジャンルの近い映画本篇の前に、かつて演劇と映画がプログラムとして共存していた時代のように、「プロローグ」として上映するとかね。

<2014.2.11記>
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