一つげマニヤとして、前から観たかった作品。
浅野忠信は良いし、つぐみも可愛いが、映画としてはダメである。良く言えば原作を緻密に再現してはいるが、美術や衣装、台詞の一言一言まで忠実に再現し過ぎた結果、映画としての面白さやオリジナリティが完全に失われている。結局、どんなに面白くても、それはつげ義春の漫画が面白いだけ、ということだ。
深夜ドラマのような感覚で観る分には良いのだが、前半30分のつげっぽい要素を取り入れただけのオリジナルパートや、冒頭と最後の、いかにもアングラなものをやりますよ、というような舞踏の様などを見ると、何がしたかったのかわからなくなる。極端な話、本質的にはカラオケのビデオと変わらないような気すらする。