SHOHEI

ブロブ/宇宙からの不明物体のSHOHEIのレビュー・感想・評価

3.9
アメリカの田舎町に隕石が落下した。様子を見に行った老人は隕石から現れたアメーバ状の物体に取り憑かれてしまう。不良青年ブライアンは老人に襲われ夜道に飛び出すが、通りがかったポールとメグが老人を跳ねてしまう。病院へ送り届けた3人だったが、老人の身体は入院先で溶けてしまい謎の生物は巨大化していく…。

『エルム街の悪夢3 惨劇の館』を撮ったチャック・ラッセル監督のSFホラー。脚本は『ショーシャンクの空に』の監督を務めることになるフランク・ダラボンでこの当時はホラー作品を多く手がけていた。というかむしろこっちが本業だと思う。知名度的にはエルム街3よりも本作の方が有名なのでは。オリジナル版はスティーヴ・マックイーンが無名時代に主演した『マックイーンの絶対の危機』。得体の知れない知覚生物との戦いを描いた映画は『遊星からの物体X』や『スリザー』なども有名だが内容的にはそれらに勝るとも劣らない出来栄え。当然この時代CGはなくSFXによる演出だが実体感があってリアル。剥き出しの内臓、千切れる腕、さらに普通なら躊躇するような子供が溶ける場面もあってグロテスク描写は手加減なし。「実は背後に冷戦の軍事競争の影響が…」というのは当時らしいが陰謀論が出回る現在ではあながち創作とは言い切れないのも面白い。ストーリー自体はホラーのセオリーどおりで正直安っぽいが、作品づくりに対するスタッフの愛情や力の入り具合が伝わってくる傑作。
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