こたつむり

ブロブ/宇宙からの不明物体のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.0
★ ドロドロ、ドロドロ、ドロロロロ

これぞホラー映画の王道。
なんて言いたくなる作品でした。
しかも、80年代の作品ですからね。
土曜夜九時からフジテレビ系列で放映されても違和感がない雰囲気なのです(実際に放映されていたようです)。

その恐怖の根源はスライム状の生物。
こいつが「ぐじゅるぐじゅる」と蠢き、たんぱく質の集合体…つまり“人間”を飲み込んでいくのです。

これが少年漫画だったら、美少女の服だけを溶かす…なんてことになるのでしょうが、勿論、そんな展開になるはずもなく。予想以上に「じゅるじゅるびちゃっ」なのです。うーん。これだと心の中の中学生は喜びませんね。僕は健全な大人なので大丈夫ですが。

また、本作が面白いのは登場人物の配置。
誰が飲み込まれて、誰が生き残るのか…最後の最後まで分からないのです。だから、このスライム状の生物が陳腐に見えても緊張感が持続されるのですね。上手いなあ。

ただ、唐突に思える展開もありますよ。
このあたりが“B級”と呼ばれる所以なのでしょうが…それで侮るのは危険な話。何しろ、皆さま大好き『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボン監督が脚本に携わっていますからね。物語の裏に社会派メッセージが隠されているのです。

それは、映画館でうるさい奴を許さないこと。
他人の楽しみを奪う輩は「ぐじゅるぐじゅる」と飲み込まれてしまえば良い、と本作は言っているのです。確かに迷惑ですからね。ついでにスマホを触る輩とかも溶けてしまえ。

まあ、そんなわけで。
グロテスクな表現が多いので人を選ぶ作品だと思いますが、それを「むひひ」と楽しむことが出来たら“ドロドロ検定二級”は合格間違いなし。僕もグロ系は苦手でしたが、特訓の末に楽しむことが出来ました。慣れれば大丈夫です。

ちなみに特訓する場合は、クローネンバーグ監督の作品が最適。初心者には『ザ・フライ』がオススメですよ(冗談)。
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