みほみほ

ディス/コネクトのみほみほのレビュー・感想・評価

ディス/コネクト(2012年製作の映画)
3.8
👨‍💻2020年353本目👩‍💻

これと言って、今作で描かれている何かが解決するわけではありません。このすっきりしない部分こそが、人間の複雑さなのだと思いました。すごく現代的で、共感しやすいテーマだったので、あるシーンで猛烈に泣きました。

3つのストーリーが交錯しながら、同じ時を進んでいく。どのドラマも辛いが、キャスターのパートはあまり惹かれなかったかな…。でもどのパートもそうだけど、少しずつ心の皮が剥がれていって、全てが剥き出しになった時、人間としての本性を出しながら、ようやく向き合う事が出来るという皮肉。いくら夫婦や家族とはいえ、一度生まれた距離感を壊す事の大変さが垣間見えた。


顔の見えない相手と交流出来る現代だからこそ、生まれる絆もあれば、悪用され傷付く人もいたり、様々な使い方をされていくネットワークサービスを考えさせられた。

友達が居なかった少年の希望になりすまし、いたずらメールをして、自殺に追いやった少年達。自殺を図った息子の事を何も知らず、意識不明になってからようやく息子に向き合い始めた父親。そして息子の悪事の真実を知って、行動するのかと思えば、最終的に息子を守ろうとしてしまう親。

言い方は悪いが、あくまでも自分の出世の為のネタとして近付いた青年に、妙な情が入って中途半端に交流するものだから、かえって青年の心をボロボロにしてしまうキャスターだったり、キャスター自らも心と葛藤していたり…

過去の傷みに苦しみ続ける妻を孤独にさせてしまい、過去と向き合う事から逃げる事で平静を保ってる夫だったり、夫と向き合えずに見知らぬ誰かとチャットを通じて、傷みを分かち合う妻だったり…

そんな普段交わる事のない人々が繋がった時、こんなに濃いドラマになるんだなと感動したし、結構突き刺さるシーンが多かった。今作の中に出てくる人を、善と悪に分けたとしても…その善悪どちらにいる人間の心全てに共感させられてしまったので、誰かが悪いという風にも思えなかった。


置かれた環境や立場によって、人間は自分を守りながら、人を傷つけたり、傷つけられていく。こんな時代だからこそ、ネットの繋がりも素敵な事だし、顔が見えないからこそ(積極的に出してる人も居るけど。)生まれる話しやすさと安心感がある。

私にとっても大切なツールだったし、10代の頃とか顔の見えない相手に話を聞いてもらって救われた事も多々ある。身近な人に話せないけれど、そこでは晒けだせる不思議な魔法があるから、
欠かせないツールだ。でもそれを悪用されてしまう危険性も、この映画は訴えかけている。

画面越しだけでなく、身近な人と向き合う勇気。
人との繋がりを改めて考えさせられた一本でした。


今作を観て、ポーラ・パットンの顔好きだなぁ…と感じたのと、「アトランティスのこころ」で母役を演じていた女優さんが綺麗に歳を重ねてて、感動しました。「アバウト・シュミット」にも出てたんだね。娘役かな??
みほみほ

みほみほ