“途方も無くエロス、果てしなく清々しい”
昼間はアングラ劇団員、夜はSM女王として生きる鈴木砂羽と、ホテトル嬢(90年代のデリヘルの呼称)の片岡礼子の不思議な友情が織り成す、何故か爽やかなエロティック青春群像劇。
本当にすごく見所の多い映画で、果たしてどこから褒めていいかわからないくらい終始魅力的だった。
まず鈴木砂羽が生き方も裸体も全部含めて美しくて清々しい。
巨匠アラーキー撮影のモノクロヌード写真が随所で挿入されながら、彼女の昼と夜の生き方が交錯していく。
劇団員たちと稽古とセックスに明け暮れ、夜は客に容赦なくSMプレイで男達を手なづける。
劇団員たちは後の大人計画の面々で、松尾スズキ、阿部サダヲ、宮藤官九郎などなど豪華なメンツの初々しい演技が堪能できる。
SM客のうちの1人、ヤクザの萩原流行がめちゃくちゃチャーミングで俺は好きだ。
彼の真っ直ぐだけど歪んだ仁義に貰い泣きしてしまった。
こういう人、本当にいそう笑
ホテトル嬢とのカラッとした友情も良くて、2人の心の声が名台詞のオンパレードで胸に刺さる。
94年製作の映画で、舞台は渋谷。
監督がVシネやピンク映画の名手、高橋伴明ということもあって渇いた時代性と飽きさせない映像工夫がギュウギュウに詰まってて、
強烈に90年代の空気感が脳裏に蘇った。
まだ人生の飽きや枯れを知らない20代の彼らではあるけれど、
それでも最後の鈴木砂羽のセリフが大好きだ。こういう気持ちで人生走り抜けたいと思えた。
偏見抜きに、近くのレンタルショップで本作を見かけたら即借りて鑑賞してほしい大傑作な邦画です。