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ラストエンペラーのERIのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
3.8
ベルナルド・ベルトルッチは去年77歳で亡くなった。坂本龍一さんが事あるごとに彼の名前を出していたから、とても信頼していた人の一人だというのが伝わる。ラストエンペラーはもう30年前以上前の映画で何度となく語られてきた作品だと思う。

圧倒的な歴史的大作だ。

1950年。第二次世界大戦の終結と、満州国の崩壊によって中華人民共和国の一つの都市となったハルビン駅。戦犯扱いで中華人民共和国に戻ってきた大勢の中に、一人の男が洗面所で自殺を図っていた。この男が清朝最期の皇帝にして満州国の皇帝、中国王朝最期の皇帝ラストエンペラーその人だった。愛新覚羅 溥儀。

イタリアの監督が東洋に目を向け、これほどまでに美しく圧倒的に描くのだから驚く。

本作は溥儀が書いた自叙伝を原作に作られているらしい。3歳の時、清朝皇帝に即位する。清朝文化の独特な衣装とか髪型とか再現性もすごく厳かだ。甘粕正彦役を演じてる坂本龍一さんも大変興味深い。

統治をしたいといつも願いながらまるで広そうでとても狭い世界に閉じ込められ続けた人。2人の妻にもこの運命みたいな人生に嫌気をさされ、逃げられてばかり。自分の知らないところで国はまわり、その事実を知った時溥儀は愕然とする。戦犯扱いを受けて10年、監獄で模範的な行動が評価される1959年に釈放される。

溥儀が暮らしていた紫禁城を訪れてエンペラーとして守られていた頃を憂う。ラストエンペラーを演じたジョン・ローンが存在感があるし、音楽も素晴らしい。
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