愛新覚羅溥儀。
中国のラストエンペラー。
初めて観たときは幼すぎ内容は理解できなかったが、壮大なスケールに圧倒された。
坂本龍一の圧倒的な音楽がさらにこの映画を力強いものとしている。
同じ時代を生きた日本のラストエンペラーといえる「祐仁昭和天皇」に、当時高校生だった兄が「溥儀は戦犯としてこんなに苦しんだのに、昭和天皇は…。」と、怒っていたことは覚えている。
中学生頃再度鑑賞。
この映画で描かれていることが全て史実通りでないとしても、日本は戦争の被害者で、可哀想な国という自分の中の価値観が崩れた。
冨樫先生も言っていたが、幼い頃は戦争をしている国に、いい国と悪い国があるのだと思っていた。
勿論日本はいい国の方なのだと。
そんな筈がない。
そんな筈がなかったのだ。
戦争をするいい国なんて、ある筈がない。
当時兄は、裁かれることのなかった昭和天皇に憤っていたが、神として生きることを強いられ、多くの人々が彼を信じ死んでいったにもかかわらず、その後人として生きなければならなかった裕仁という人間の苦しみも計り知れないものがあったのではないか。
私などが分かるふりは出来ないけれど。
どんなにもっともそうな理由をつけたところで、戦争は究極の利己主義でしかなく、彼等もその犠牲者であったと思う。