MasaichiYaguchi

フローズン・グラウンドのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

フローズン・グラウンド(2013年製作の映画)
3.1
「ガールハント」と聞いて、ピーンとくるのは我々昭和世代だけかもしれない。
「ガールハント」とは、男性が遊び目的で女性に声をかけて誘うこと、いわゆる「ナンパ」。
1983年に犯人が逮捕されたアラスカ・アンカレッジで発生した連続女性殺害事件を描く本作品で繰り広げられる「ガールハント」は、正に「少女狩り」。
少女たちを甘い言葉と金で誘い、拉致監禁して性的暴行を加え、アラスカ荒野で殺害するという悪辣極まりない犯行を繰り返すこの犯人は典型的なシリアルキラーだ。
このようなシリアルキラーの典型で普段は善良な市民の仮面を被っているので性質が悪い。
この狡猾で残忍な犯人を追いかけるのがニコラス・ケイジ演じるアラスカ州警察巡査部長ジャック・ハルコム。
なかなか「犯行の尻尾」を出さないジョン・キューザック演じる犯人・ボブ・ハンセンとハルコムとの息詰まる攻防戦が、犯人の毒牙を唯一逃れた17歳の娼婦シンディを巻き込みながらスリリングに繰り広げられる。
だが、実際にあったこの凄惨な事件を「事実通り」に描こうとしたばかりに、かえってワイドショーの再現ドラマみたいになってしまい、事件の「際どさ」ばかりが目立ってしまったと思う。
ラストで被害者に哀悼の意を表した後に、あのような紹介をする必要があるのだろうか?
狩りの標的になって犠牲となった人々を、そっとしといてあげるのが「追悼」ではないかと思う。