kaz666

ウルフ・オブ・ウォールストリートのkaz666のレビュー・感想・評価

3.8
スコセッシ監督作品において、ある意味、客を置いていく一種の性癖みたいなものがある。所詮映画みたいなものはコンポライアンスはないし、見た結果つまらなくても、その責任は撮った側にはないわけで。
今作から非常に変わった点は、目線を客に少しは合わせるようになったこと。
至るところに監督の悪い癖はあるものの、三時間の長尺だが、しっかり骨太作品だった。
三時間無駄な部分はないのか?それを聞かれたら、多々ある。例えばドラッグ中毒のディカプリオが、足を震わせながら、外に向かって歩くシーン。
これに、考えられないぐらい長い時間を使う。個人的にはそれが気持ちいい。
内容的には、ウォールストリートの投資家が、最終的には転落する話で難しい話ではない。スコセッシには珍しい。
とにかくディカプリオの演技。これに尽きる。ディカプリオが脚本も演出も全てを食い散らかしている。
個人的には、全盛期のデニーロの再来を見た。
至るところにあるセックスシーンも、コミカルに撮られていて、下品には見えなかった。
ディカプリオの表情がすごい。弛緩する顔中の筋肉が凄まじい。
化けもんのような演技で客を喰らい尽くすでしょう。
セリフのひとつひとつが、能弁で包括的。カタルシスを存分に感じることができた。
kaz666

kaz666