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ウルフ・オブ・ウォールストリートのtjZeroのレビュー・感想・評価

4.1
2019年、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』とマーティス・スコセッシの『アイリッシュマン』が公開されました。

両監督の作風って共通するものがあるなあ~、と感じて、この正月休みにタラちゃんの『ヘイトフル・エイト』とスコセッシの本作を続けて観てみました。

ふたりの作品を並べて、自分の脳内で競わせると、DJバトルを観ている(聴いている)ような気分になってきます。

音楽の使い方がDJ的、ってだけじゃなくて、セリフの応酬とかカットのつなぎとか、すべてにリズムがあってノリが良くて、観ている方の熱気をグイグイとアゲていく。

タランティーノの方は前のめりというか、刺激的なノイズとかスクラッチも多用しながら、刹那的に引っ張ってくれます。
対するスコセッシは年季の入ったDJのように、もっとゆったりと、わざとテンポを遅らせたり、外して裏でリズムをとったりして、ジワジワと盛り上げてくれます。

あと、主人公がブルーカラー階級、っていうのも両者の共通点ですね。
タラちゃんの方は、ほとんどチンピラばっかり。
スコセッシの場合だって、『タクシードライバー』も『レイジング・ブル』もブルーカラー。
お得意のマフィアものにしても、コッポラの『ゴッドファーザー』なんかは生まれながらにして幹部みたいな連中がメインでしたが、スコセッシの『グッドフェローズ』や『アイリッシュマン』はブルーカラーのチンピラが成り上がっていくお話。
だから音楽も、コッポラのマフィア映画にはニーノ・ロータの壮麗な調べ、スコセッシの方にはロックやポップスの狂騒がピッタリ合います。

そういう意味で、シェイクスピアの世界をポップにアレンジした『ロミオ&ジュリエット』や、三等船室から甲板へと主人公が”成り上がって”いく『タイタニック』に主演したレオナルド・ディカプリオが、タラちゃんとスコセッシ両監督作の常連になっているのも必然なのかな~、と思うのです。
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