2013年のアカデミー賞において10部門にノミネートされるも無冠に終わった本作。
個人的にはかなり期待してたんだけどほとんど響かず。
評価できるのは役者たちの演技ぐらいかもしれない。
この映画では詐欺師たちの騙し合いだったり、どんでん返しだったりが目当ての人も多いと思うが、そういった要素は薄め。
実際の事件を元に映画化と謳っているが、監督のデヴィッドOラッセルは事件から人としての欠陥に焦点を当てている。
以前僕が観た同監督の「世界にひとつのプレイブック」でも、人としてどこか欠陥がある人たちに焦点を当てている作品であり、そういった部分を描くのが印象的だ。
本作でもそういった要素は健在。ただひとつ言わせていただきたいのは、その要素にコメディ感を詰め込むのは不満。
笑いの乗せ方が個人的には微妙。そもそも笑って良いのかわかりづらいところが多い気がする。
また、キャラクターたちもなんだかなぁ。
一癖二癖あるやつばかりで、人としての問題があるやつらばかりなのでたぶん嫌いな人も多そう。
キャラ的にうるさい人も多いので余計に。
『ウルフオブウォールストリート』とは違ったすっきりしたクズ加減ではないので、いまいち煮え切らない。
見た目のインパクトも正直いらない。これもたぶんコメディ要素の一部だが、完全に出オチ。
こういった部分がどうしても自分とは合わなかった。ここを好意的に受け取れるようになれれば、評価は全く違ったものになっていたと思う。
あともう一点がテンポの悪さ。
2時間半ほどの長丁場にも関わらず、物語に抑揚がない。
やってることはすごいことなのに、そのすごさがわかりづらい。
それでいて、作戦は皆が協力してるわけでもなく各々が好き勝手にやるだけで、組織で騙すという爽快感がない。
騙す相手も完全な悪人ならまだしも、めっちゃ善人まで騙してるのには胸が痛む。
事実を元に加筆もあるようなのでここにも配慮が欲しかった。
ちょっとディスりすぎてしまったのでよかった点も。
まず選曲センス。70年代の雰囲気を壊さぬよう、登場人物たちの心情に合わせた選曲は見事!
そして役者たちの演技。
一人一人名前を挙げて、良さを言えるくらい引き込まれる演技。
本作で一番インパクトがあったのはジェニファーローレンス。
最初はちょい役かなと思っていたが、意外と重要な役割。しかもはちゃめちゃすぎて面白い。
美しくてツッコミどころはないので、演技面でのインパクトのみで観客に印象を与えるのはやはり役者としての力だと思う。
騙し合いは騙し合いでも、自分自身を騙して生きているみたいな感じ。
そういった要素とこの実話を重ねることに無理があったかなという作品。