MasaichiYaguchi

恋するリベラーチェのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

恋するリベラーチェ(2013年製作の映画)
3.4
本作の写真を見た時「宝塚歌劇」と思ってしまった。
一瞬二人とも誰だか分からなかったが、良く見れば向かって右の人はいつもとイメージが違うがマット・デイモンであることが分かったが、「その隣のオジサンは誰?」という感じでクレジットを見てみたら、驚いたことにマイケル・ダグラスだった。
この作品は1950年代から1980年代にかけて世界を魅了したピアニスト、リベラーチェの晩年を描いている。
その晩年では、彼の華麗で熱のこもったピアノの旋律と共に付き人であり恋人でもあったスコット・ソーソンとの老いらくの恋が繰り広げられる。
このスコット・ソーソンの原作「Behind the Candelabra:My Life With Liberace」では、今まで秘められていたこの大スターの同性愛者としての私生活が赤裸々に書かれている。
だから映画でも、同性愛、ゲイの世界が真正面から取り上げられていて、それを主演のマイケル・ダグラスとマット・デイモンが素晴らしい演技で表現する。
特にマイケル・ダグラスの、リベラーチェのピアノ運指をそっくり真似ての演奏シーンは、本人が乗り移っているかの如く神懸かっている。
この二人の演技以外でも、華やかなショーのシーン、リベラーチェの豪邸の煌びやかさ、そして本作が遺作となってしまったマーヴィン・ハムリッシュの音楽の素晴らしさ等、魅力は色々ある。
愛に飢えたリベラーチェとスコットの似た者同士の恋は男女間のものと変わらず、愛の高揚感もあれば、相手への猜疑心や嫉妬もある。
結局彼らの恋はドロドロの修羅場にまで発展してしまうのだが…
それでもリベラーチェの音楽同様、その恋愛劇は「宝塚」のようなゴージャスな美しさと儚さを持っていて魅了されます。