キャサリン子

ぼくたちの家族のキャサリン子のレビュー・感想・評価

ぼくたちの家族(2013年製作の映画)
3.7
重度の物忘れにより病院で検査を受けた玲子(原田美枝子) は、 末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告される。
やがて、経済破綻や家庭内不信などの問題が噴出するが、それまでバラバラだった家族が次第に再生していく…というお話。


どこにでもいるごく普通の家族。
この家族の描き方が、めちゃくちゃリアル。
いざとなると狼狽えてばかりの父親、
しっかり者風だけれどかつて引きこもりで親に散々迷惑かけた長男、
いつもヘラヘラしててお気楽そうに見えて実は色々考えてる次男。

「まんまうちの家族だわ!」って思いながら観た人、結構多いと思う。
特に、兄弟の距離感が絶妙。ヒリヒリしたわ〜。


けれど、なんだかんだ言いつつも親が病気になったときに支え合えるのは兄弟姉妹なんだよね。うちの母親が病気したときに思った。
長女の私は、それまではずーっと「一人っ子が良かった。弟も妹もほんと邪魔」って思っていたけれど、母親の病気がわかったときに「弟と妹がいてくれて良かった」って初めて思えた。
気丈に振る舞っていたつもりだったのに、弟と妹が「お姉ちゃんが心配」と私の心情を気にかけてくれていたらしい。
滅多に電話なんかしてこない弟妹が、「お姉ちゃん、大丈夫?」って、それぞれ電話くれて。
お母さんが死ぬかも知れないって時に、私なんかことを気にしてくれた二人には申し訳なさやら情けなさやら複雑な心境だったけれど、電話をもらった途端張り詰めていた糸が急に切れて、号泣してしまった。
今まで弟と妹の前であんなふうに泣いたことなんてなかったから二人はびっくりしたと思うけれど、弟妹だからこそ素直に泣けたんだろうな。
多くを語らなくても分かってもらえるって、家族だけなんだろうなぁ。


地味な作品ではあるけれど、退屈ではないのでぜひ多くの人に観てほしいです。
キャサリン子

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