北斗星

ぼくたちの家族の北斗星のネタバレレビュー・内容・結末

ぼくたちの家族(2013年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

弟の存在と脳の病気になったお母さんがこの一家の息抜きになっている。
もともとお母さんはあっけらかんとした性格だったのか、それとも失語症になったせいか。
ただ後に、夫の会社がうまくいかなくて、生活費をサラ金から借金していたことが発覚する。周りの友人たちは夫婦でハワイ旅行などしているが、お母さんはいつも土産話を聞くだけ。
決してただ明るく生活していた人ではないことがわかる。

次男は母親に小遣いをせびり、気楽な大学生で、軽口ばかりたたいて次男特有の気楽で責任感などなく、一見チャラ男にみえる。
兄ももしかしたら、そんな風に見ていたのかもしれない。

父親から兄への電話口撃。
父親って何だろうか?
父親や男なんて、世の中の家族の蓋を開ければこんなものでしょう。
夫や男たちにとっての大黒柱は、やはりお母さんの存在だったのでは?

最初はこの弟がただ家族を達観しているのかと思っていたが、男軍で何ヵ所も粘り強く病院回りをして、ビンゴ!になったのはこの弟だったのだ。

ラスト、母親の手術には怖くて立ち会えないからと、こっそり兄嫁に会いに行く。頼むから兄貴を見捨てないでと。

すごく兄思い。引きこもりになった過去のある兄より弟の方が実は小心者で、家族を茶化してないとやってられなかったんだろうなと。実は兄貴より弟のほうが繊細で脆かったのかもしれない。

弟は『母さんが病気になる前から、この家はぶっこわれてたけど』と云った。

今回家族の膿が全部出たと思う。

この家族は壊れているように見えてた、あるいは確かに壊れていたが、母親の病気というキッカケで家族同士がまだ心の奥で思いあっていたため、三人の男たち+母親(女)の絆が再び結ばれたのかもしれない。

この先も何度も見たくなるだろう家族の物語。とても好きな映画のひとつ。
北斗星

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