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泣き濡れた春の女よのnagashingのレビュー・感想・評価

泣き濡れた春の女よ(1933年製作の映画)
3.5
初トーキーとは思えないほど音の使い方が洗練されている。番号の号令、階段の足音、船の汽笛。決定的な出来事の進行はオフの音で語られていく。役者の発声も、濃密な男女の駆け引きにおいて、身振りと同等かそれ以上に重要。「それで?」や「いい天気ですね」がニュアンス変えて反復。予想外すぎる画面の連なりにうろたえたり、清水宏にしては禁欲的なカメラに拍子抜けしたりもしたが、トラックアウトで露わになる女から女への視線や、弔意の行進を逆走する画には緊張感がみなぎる。
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